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2011年 07月 07日
このごろ時間に余裕があるので(ありすぎとも言う)、読んだ本から一冊ずつ記録していこうかな、と思ってます。
いつまで続くかわからないけど、4-5冊月末にまとめて記録だと、本の登場人物の名前とか思い出せなかったりするから(笑)。 今回ご紹介するのは私には珍しく、英語でノンフィクション。 『The Immortal Life of Henrietta Lacks』 by Rebecca Skloot ハードカバーで出版された時から日曜新聞の書評などでかなり話題になっていたんですが、このカバーの模様と、タイトル、作者の名前(笑)から、なんかニューエージのヒッピー系の本だと思い込んで避けてました(汗)。 ひょんなことからきちんと書評を読んでみたら、この本の題材はぜんぜん私の想像とは違って細胞医学。 Henrietta Lacksは1951年に子宮頸癌でなくなったアメリカ人の黒人女性。(日本語のウィキにも記述がありますが、かなり間違った情報が多いのでご注意。 一応リンクを貼っておきますが…)。 1951年に亡くなった彼女がなぜImmortal(不死身)なのかと言うと、主治医が彼女を診断した際にがん細胞を切除し、細胞学者に培養する目的で渡したから。 その当時は、アメリカでさえインフォームド・コンセントは存在しなかったから、そしてヘンリエッタ自身がアメリカの人種分離法時代の貧しい黒人女性で、The Johns Hopkins大学病院の無料の有色人種病棟で治療を受けたからなどさまざまな理由でヘンリエッタの細胞は本人や家族の許可無く医学の研究に使われたそうです。 この時代、細胞を培養する研究は世界各国で行われていたのですが、動物や人体から切除された細胞はその後しばらくすると皆死んでしまっていた。 それなのに、ヘンリエッタの細胞は今もなお行き続けている。 彼女の細胞なくしては、ポリオのワクチンも、子宮頸癌のワクチンも開発できなかったそうで、今では色々なタイプに発展したヘンリエッタの細胞が医学業界で売買されているらしい。 驚いたことに、ヘンリエッタの家族がこの事実を知ったのはヘンリエッタの死後20年以上経ってから。 それも追加の研究の為に医学者が家族に採血を申し入れたからだったのです。 ヘンリエッタの細胞についての文献は1950年代から気の遠くなるほどの数が発表されているのに、ヘンリエッタの名前さえもがそれから何十年も経つ今、間違って報道されていた。 作者は細胞ではなく母として、妻として、人間としてのヘンリエッタを描く為にこの作品を書いたようです。 テレビなどで見るアメリカは豊かさと自由をアピールしていますが、いまだに根強くはびこる人種間のギャップ、そして貧困層とミドルクラス以上の人々の知識差など、医学に興味が無くても興味深い点が満載の作品でした。 難しく硬くなりがちな題材を人間味溢れる文章で書き上げた作者もすごい。 おすすめです。 追記: 日本語翻訳版も出ているとyukoさんからの情報です。 ありがとう。 不死細胞ヒーラ ヘンリエッタ・ラックスの永遠なる人生 お勧め度: ★★★★☆(4/5) 参加してます。 ポチっとお願いします。
by melocoton2
| 2011-07-07 21:06
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